表面的な「成功」や「失敗」は関係ないーー “日本資本主義の父” 渋沢栄一の金言 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

表面的な「成功」や「失敗」は関係ないーー “日本資本主義の父” 渋沢栄一の金言

【連載】「あの名言の裏側」 第4回 渋沢栄一編(1/4) 「 片手にそろばん、片手に論語」の意味

 大切なのは「人としてなすべきこと」を意識する姿勢であって、表面的な成功や失敗などは大した問題ではない、と説いているわけですが、「結果なんて所詮は“残りカス”みたいなもの」と断じてしまうあたりが、実に痛快です。
 渋谷氏は続けて、このように語りかけます。
ーーーーーーーーーーーーーーー
 現代の人の多くは、ただ成功とか失敗ということだけを眼中に置いて、それよりももっと大切な「天地の道理」を見ていない。
(中略)
 とにかく人は、誠実にひたすら努力し、自分の運命を開いていくのがよい。もしそれで失敗したら、「自分の智力が及ばなかったため」とあきらめることだ。逆に成功したなら「知恵がうまく活かせた」と思えばよい。成功したにしろ、失敗したにしろ、お天道さまからくだされた運命にまかせていればよいのだ。こうして、たとえ失敗してもあくまで勉強を続けていけば、いつかはまた、幸運にめぐまれるときがくる。
(渋沢栄一/守屋淳・訳『論語と算盤』より)
ーーーーーーーーーーーーーーー
 失敗するにしろ、成功するにしろ、そこから何を学ぶかが大切。まずは誠実に努力する姿勢を忘れず、失敗しても勉強を続ければ、きっと報われるときがやってくる──といったところでしょうか。
「天地の道理」という言葉がピンッとこない向きもあるかもしれませんが、これは“物事の本質”とか“生きていくうえで本当に重要なこと”と置き換えてもいいかもしれません。そもそも失敗も成功も、目先の些末なこと。近視眼で一喜一憂するのではなく、俯瞰的かつ客観的に物事を見極めながら、冷静に、実直に進み続けることが重要ということでしょう。

KEYWORDS:

オススメ記事

漆原 直行

うるしばらなおゆき




1972年東京都生まれ。編集者・記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中より若手サラリーマン向け週刊誌、情報誌などでライター業に従事。ビジネス誌やパソコン誌などの編集部を経て、現在はフリーランス。書籍の構成、ビジネスコミックのシナリオなども手がける。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』、『読書で賢く生きる。』(山本一郎氏、中川淳一郎氏と共著)、『COMIX 家族でできる 7つの習慣』(シナリオ担当。伊原直司名義)ほか。

この著者の記事一覧